ほおずきのおはなし

ほおずき

日本の夏の風物詩となる植物のひとつ、ほおずき。提灯のような姿を、そこかしこで見かけます。オレンジというよりは、日本語の「朱色」という表現が似合う色は、夏の青空の下でも、少し暮れかけた夕焼けの空にもよく似合い、どことなく懐かしいような、思い出の中の夏にもイメージとして登場するような気がします。

さて、そんなほおずきは、ナス科の植物です。夏に鮮やかな実をつけるのは、ナスやトマトとたしかに同じですね。実の部分はプチトマトに見えなくもない見た目をしていますが、現在流通している栽培用の品種は基本的に毒性があるため、食べることはできません。また、いかにも主役に見えるふっくらした朱色は植物としては「がく」の部分で、その中に身が包まれている作りとなっています。ほおずきという名前の由来としては、朱色のふっくらした姿が「頬(ほほ)」に似ているされ、「ずき」は「顔つき」「目つき」の「つき」と同じ語だという説があります。

ほうずき

夏の植物ということで、日本ではお盆の花飾りとしてよく使われてきました。ご先祖様をお迎えする鮮やかなお花の中にあっても、ほおずきの朱色はひときわ目を引きます。これが、ご先祖様が帰る道しるべの提灯のようだということで、漢字で「鬼灯」という字が当てられることもあります。ここでの「鬼」は桃太郎などの「鬼」そのものというよりは、「あの世」をあらわす言葉として使われています。今はあまり多くは聞きませんが、「鬼籍に入る」といった言葉にある「鬼」と同じ意味合いです。

ほうずき

東京の浅草寺では、7月の「ほおずき市」が有名ですね。江戸時代に定着した風習で、現在でもほおずきの鉢植えが並び、日本の伝統を感じる夏らしい風習となっています。ほおずき市が催される7月9日と10日は観世音菩薩(観音様)の縁日で、この日に参拝すると四万六千日お参りしたのと同じ功徳があるといわれる「功徳日」のひとつです。なお、この「功徳日」、他にも十日分、百日分などいくつかありますが、その中の最大の功徳日が四万六千日。ざっと126年分くらいになるので、一生分お参りしたといえるくらいの特別な日なのです。ほおずきの他には風鈴の屋台なども並び、目で見て耳で聞いて、熱気を肌で感じて楽しめるイベントです。

浅草ほうずき市

もしドライフラワーがお好きであれば、「透かしほおずき」を作ることも難しくはありません。新鮮なほおずきを丸ごと、1週間から10日程度水につけておくと、朱色のがくが溶け、レースのような葉脈と中の実が残り、ランプのような見た目になります。あえてがくの部分を腐らせて作る方法なので、作る途中で匂いは出るものの、完成すれば長く飾って楽しめるナチュラルなドライフラワーになってくれます。

透かしほおずき


夏色の鮮やかな提灯。美しい風物詩であるだけでなく、人の思いや祈りを包み込むほおずきに、この夏ぜひ出会っていただきたいなと思います。

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