今や、「ライラック」と聞くと、やはりあのさわやかな楽曲が頭の中に流れてくる人も多いのではないでしょうか。「ライラック」、もともとはお花の名前です。色の名前でも「ライラック」がありますが、これはライラックの花の特徴的な色である明るい紫色のことをこう呼びます。「バラ色」や「桜色」と同じく、花の名前が先にあるパターンの色名ですね。おもしろいもので、ほかのお花、たとえばシクラメンやスイートピーなどの紫色の品種に「ライラック」という名前が入っていることもあります。黄色いチューリップに「たんぽぽ」という名前がついているようなものでしょうか。「ライラック」という言葉自体のリズミカルな響きやかわいらしさが、ただのお花の名前以上にいろいろなところで使われる理由かもしれません。「ライラック」は英語名ですが、フランス語でライラックをさす「リラ」という名前もなんだかすてきですよね。日本でも「リラの花」と呼ぶ場合もあり、これもまたなんとなくレトロな雰囲気を感じさせるおしゃれな呼び名です。

正直なところ、ライラックのお花自体をお花屋さんで花束やアレンジメントに使うことはそこまで多くはありません。ライラックは桜やキンモクセイと同じように木に咲く花なので、お花屋さんではどちらかというと「枝物」という扱いになります。そのため、ほかの花と組み合わせて使うというよりは、ドウダンツツジやユーカリのように、その枝だけで大ぶりの花瓶にさす飾り方が似合うように思います。枝物らしくお花が咲いている期間も切花より長いので、もしどこかでライラックの枝が売られているのを見つけたら、ぜひお部屋に飾ってみてください。甘い香りを楽しむこともでき、お花だけでなくハート型の葉っぱもかわいくておすすめです。

ライラックのお花は、小さな花が集まって咲き、花姿としてはヒヤシンスなどに近いです。ひとつひとつのお花は筒形で、先が4つに分かれた小さな星のような形ですが、まれに5つに分かれた花が見つかることがあり、「ラッキーライラック」と呼ばれて幸運のシンボルとされています。四葉のクローバーのようなものですね。(「ラッキーライラック」という名前の競走馬もいて、「ライラック」という名前の人気がわかります)

冒頭でご紹介した色の名前のように、「ライラック」といえば紫色のイメージではありますが、ライラックには白い花もあります。宝塚歌劇団の代表曲ともいえる「すみれの花咲くころ」という楽曲がありますが、これは原曲では「白いリラの花が咲いたら」というタイトルだったそうです。偶然なのか、「スミレ」という紫色のお花と絡むのも興味深いところです。

お花の名前としてだけでなく、音楽や数々の文化作品にも名前を残す「ライラック」。どこかでこの名前を聞いたら、凛と木に咲くお花の姿もいっしょにイメージしてみてくださいね。

