夏になると、お花屋さんの店頭で目を引く、大輪のユリの花。トロピカルカラーのあふれるカラフルな夏の街で、ただただ真っ白な立ち姿は、凛として格調高い存在感を持っています。今では温室での栽培技術が発展したので、年中目にすることができるお花ではありますが、花期は5月から8月。今の季節にいちばん美しい姿を見せてくれます。

ユリといえば、花姿はもちろんのこと、その香りが大きな特徴です。多くの人が「お花屋さんの香り」としてイメージする香りは、大部分がユリの香りでしょう。お花屋さんのほとんどにユリが置かれていることと、その香りが強く際立っていることで、人の印象に残りやすいです。実際には、ピンクやオレンジなど色のバリエーションもありますが、白いお花のイメージが強いですね。花言葉も「威厳」「純潔」「無垢」など、思わず「そうでしょうね」と言いたくなる言葉が並びます。
また、古くから聖母マリアの象徴として知られ、絵画や芸術の世界でも、マリア様のまわりにユリの花が描かれたり、ユリの花を手に持ったマリア様の像を目にすることがあります。そんなエピソードもまた、花言葉とのつながりを感じることができます。

代表的な白い品種は「カサブランカ」で、「白いユリ」といわれて思い浮かぶあのお花のことです。名前の由来はスペイン語で、「白い家」という意味。また、日本にも野性の百合が10種類以上存在していて、夏に山登りやハイキングに行くと、白くて大きなヤマユリやオレンジ色のオニユリを道端に見つけることがあります。緑いっぱいの山道にあっても、ユリの花が咲いているその場所だけ別のスポットライトが当たるような存在感。自然の中でユリを見つけたときのときめきは別格です。
ほかにも、カサブランカより少し小型の白いユリ「テッポウユリ」は、九州から沖縄、台湾原産のお花で、園芸種としても人気。いろいろな形で、長く広く親しまれていることがわかります。

切り花をお部屋に飾るときは、ぜひつぼみから育ててみることをおすすめします。すっとした緑色のつぼみが、少しずつ先を開きはじめ、やがて大きく花開く過程は、他の切り花では味わえない成長の過程を見守る楽しみを教えてくれます。
フローリストからの注意点は、ユリの花粉。お花が開いてくると、真ん中のしべの部分にオレンジ色の小さな袋のようなものがありますが、これがユリの花粉が入った袋です。ピンセットなどで袋をつまんで引っ張ると簡単にとれるので、そっと取ってしまいましょう。そのままにしておくと花粉の袋も開くのですが、ここから出てくるオレンジ色の花粉は、白いユリの花びらについてしまうだけでなく、お洋服やカーペットにつくと非常に落としにくいのです。多くのフローリストが、一度は自分の洋服についたユリの花粉に泣いています。

今度お花屋さんの前を通ったとき、ユリの花と目があったら。ぜひ一度、豪華な夏の女王様を、おうちにお迎えしてみてくださいね。
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