秋のお花、ニオイザクラをご存知ですか? 名前は知らなくても、花姿はどこかで見たことがある、という方もいらっしゃるかもしれません。
ニオイザクラは、植物としては桜の仲間ではありませんが、かわいい小さなピンクのお花が桜を連想させます。日本人には馴染みのある「サクラ」の名前がついているところからも、このお花が愛されていることがわかりますね。また、その名前の通り、優しい甘い香りも特徴的。決して主張しすぎることもなく、ふんわりと軽やかに包み込むような香りが人気です。

もともとは1mほどの低木ですが、最近は育てやすいように、鉢植えに仕立てられたものが多く親しまれています。最初にお伝えしたとおり、花は秋から冬にかけて咲き、育てる場所の気候にもよりますが、9月から12月までの長い花期を誇ります。たくさんのお花が花期を迎える春夏ではなく、秋冬を彩ってくれる貴重なお花なので、おうちでいろいろなお花を育てている方にもぜひお迎えしていただきたいなと思います。

置き場所としては日当たりのいいところを好みますが、日の短さで花期を感知します。明るい時間が短くなってくると、お花がそれを感じ取って、「秋だ!お花を咲かせよう!」と思ってくれるということです。屋外で育てている場合は、自然の日の短さで大丈夫。おうちの中で育てている場合は、お花のシーズンである9月ごろからは夜の時間にあえて電気のついていない暗いお部屋に移動してあげると、ニオイザクラもきちんと秋を感じて花を咲かせてくれます。

風通しよく、どちらかというと乾燥気味に育てるお花ではありますが、お花が咲いている期間は水切れしないように気を配るといいですね。咲く前の蕾もふっくらとしてとてもかわいくて、小さなお花が集まって咲く姿がすてきです。
また、気候が合えば冬を超えて次の年もお花を見ることができます。寒すぎる環境は苦手なので、5度を下回るような時期には室内へ。3月4月の春の間に株が育って大きくなり、秋にはまたお花を咲かせてくれるかもしれません。気温が安定して5度を上回るようになったら、屋外で育てても大丈夫です。また、お花のない時期でも、常緑で緑色の葉っぱが残る植物なので、観葉植物のようにグリーンを楽しむのもいいかもしれませんね。

花言葉は、「優美な人」「しとやか」「清純」など。どれも美しい言葉で、ニオイザクラの姿にぴったりです。育てやすく、目で見て、香りを味わっていろいろな楽しみ方ができるニオイザクラ。お花の季節的にも、記念日や敬老の日のギフトとしてとてもおすすめです。お花とグリーンのある暮らしに、小さな彩りをぜひ添えてみてください。